コーティング車の洗車のやり方|キーパー2級資格者が手順と注意点を解説

「コーティングをしたから、洗車はしなくていい」
ガソリンスタンドで洗車とコーティングを担当していると、そう考えているお客様にときどき出会います。

結論からお伝えします。コーティング車にも洗車は必要です。むしろ洗い方を間違えると、数万円かけた被膜の寿命を自分で縮めてしまいます。

筆者はキーパーコーティング技術2級と三級自動車整備士の資格を持ち、ガソリンスタンドで洗車とコーティングを日常業務として担当しています。本記事では、現場で実践している「被膜を傷めない洗車のやり方」を6ステップで解説します。

コーティング車にも洗車が必要な理由

コーティングの被膜は「汚れをつきにくくし、落としやすくする」ためのものです。汚れの付着そのものを防ぐ効果はありません。

雨に含まれる汚れ、道路の粉じん、花粉や黄砂。ボディには毎日なにかしらの汚れが積もっていきます。

とくに危険なのは鳥のフンと水じみです。鳥のフンには酸性やアルカリ性の成分が含まれ、放置すると被膜を侵します。水じみは、水道水や雨水が乾いたあとにミネラル分が白い輪のような跡になって残ったものです(イオンデポジットとも呼ばれます)。水じみは被膜の上に固着し、通常の洗車では落とせなくなります。

スタンドの洗車受付でも、「コーティングしてあるのに水じみだらけ」という車を定期的に見かけます。事情を聞くと、ほとんどの方が施工後に洗車をやめていました。被膜は汚れから塗装を守る盾であって、放置を許す免罪符ではありません。

洗車前に確認する3つのこと

施工直後なら硬化期間を確認する

ガラス系コーティングには、被膜が完全に固まるまでの硬化期間があります。期間はコーティングの種類と施工店によって異なり、当日から洗車できるものから2〜4週間かかるものまでさまざまです。

施工店から渡される説明書きに従ってください。案内が手元にない場合は、施工店へ直接確認するのが確実です。硬化前にシャンプー洗車をすると、被膜の定着を妨げるおそれがあります。

炎天下と直射日光を避ける

洗車に向くのは、曇りの日か朝夕の涼しい時間帯です。

真夏の炎天下では、すすぎの水が数分でボディの上で乾きます。乾いた水滴は水じみの原因になり、シャンプーの成分も焼き付きます。ボディに触れて熱いと感じたら、時間帯を変えるか日陰に移動してください。

道具を5つそろえる

コーティング車の洗車に必要な道具は5つです。

  • 中性カーシャンプー
  • 洗車用モップ(ボディ用とホイール用で2本。キーパーの「ラ・モップ」のようなタイプ)
  • マイクロファイバークロス(拭き上げ用に2枚以上)
  • バケツ2つ(シャンプー用とすすぎ用)
  • ホースまたは高圧洗浄機

ボディを洗う道具は、スポンジより洗車用モップをおすすめします。長い毛足が泡を抱え込み、砂をかみにくいので被膜にやさしいからです。シャンプーは必ず「中性」を選んでください。アルカリ性や研磨剤入りが危険な理由は、記事の後半で解説します。

コーティング車の洗車手順6ステップ

手順1:ホイール・タイヤと車体の下側から洗う

最初に洗うのはボディではなく、ホイールとタイヤです。

ホイールにはブレーキダスト(鉄粉)や泥など、車全体でもっとも強い汚れが付いています。ボディを先に洗うと、ホイールを洗った際の泥はねがきれいなボディに飛んでしまいます。ホイール用のモップはボディ用と分けて、共用しないでください。

あわせて、手の届く範囲でタイヤハウスの内側と、フロント・サイド・リヤの下側(地面に向いた面)も洗っておきます。下回りは砂と泥がもっとも溜まる場所です。先に落としておくと、ボディを洗う際にモップが砂を拾って被膜に傷を入れる事態を防げます。

手順2:ボディ全体に水をかけて砂を流す

シャンプーの前に、たっぷりの水で砂ぼこりを洗い流します。

順番は屋根からボンネット、ドア、バンパーへ。上から下が鉄則です。砂が残ったままモップでこすると、砂粒がやすりの役割をして被膜に細かい傷を入れます。水だけの工程に3〜5分かける配分がちょうどよい目安です。

手順3:泡をたっぷり使って撫でるように洗う

バケツでシャンプーをよく泡立て、泡をボディに乗せるように洗います。

力は要りません。泡と水がクッションの役割をして、汚れを浮かせて運んでくれます。スタンドで数えきれないほど洗車をしてきましたが、強くこすったほうがきれいになった経験は一度もありません。泡で落ちない汚れは無理にこすらず、すすぎ後の拭き上げで対処します(手順5で解説します)。

洗う順番には現場流の導線があります。上面は右側の屋根から始めて、トランクの上→左側の屋根→ボンネットへ。側面は右のフロントフェンダーから後方へ一周し、フロントバンパーで洗い終えます。導線を固定すると洗い残しがなくなり、作業も速くなります。

1パネル洗うごとに、すすぎ用のバケツでモップの砂を落とします。バケツを2つ用意する目的は、モップが拾った砂をシャンプー液に混ぜないためです。

手順4:すすぎ残しをなくす

シャンプーが乾く前に、上から下へ水で流します。

見落としやすい場所はドアミラーの裏、ドアノブの周り、モール(窓枠のゴム)の際です。すすぎ残しは白い筋になって残り、被膜の上で固着します。

暑い時期はシャンプーが乾きやすいので、手早く洗って、間を置かずにすすぎへ移ってください。手順2で3〜5分たっぷり水をかけておくと、ボディの温度も下がり、乾くまでの時間を稼げます。

手順5:拭き上げはクロスを滑らせる

拭き上げには吸水性の高いマイクロファイバークロスを使います。筆者の職場で使っているのは、緑色の「キーパークロス」です。

コツは「押し付けずに滑らせる」動きです。クロスを広げてボディに置き、軽く引くだけで水分は取れます。体重をかけて拭くと、クロスに残ったわずかな砂で傷が入ります。

泡で落ちなかった汚れは、拭き上げのタイミングで対処します。コーティング表面用のクリーナー(キーパーの「ミネラルオフ」など)をクロスに付けて拭き取ってください。汚れの種類にもよりますが、こすって落ちなかった汚れが意外なほど取れます。

水滴を残さない意識も重要です。残った水滴は乾くと水じみになります。拭き上げまで終えて、洗車は完了と考えてください。

手順6:ドアの内側からホイールまで、細部を拭いて仕上げる

最後に、ドアを開けた内側の縁、トランクの縁、ボンネットの裏とエンジンルーム周りの縁、給油口の蓋の裏からキャップの周りまでを拭きます。

見えない部分に残った水は、走り出したあとに垂れてきて、拭き上げ済みのボディに筋を作ります。スタンドの手洗い洗車でも、仕上げの確認は必ずドアと給油口を開けて行います。ひと手間で仕上がりが変わる部分です。

仕上げのいちばん最後に、ホイールを拭き上げます。手順1で洗ったホイールをそのままにすると、水滴が乾いて水じみだらけになってしまいます。ブレーキダストが付くので、ボディ用とは別のクロスを使ってください。

やってはいけない洗車5つ

アルカリ性・研磨剤入りのシャンプーで洗う

洗浄力の強いアルカリ性シャンプーは、汚れと一緒に被膜まで傷めます。

コンパウンド(研磨剤)入りも同じです。研磨剤は表面を削って汚れを落とす仕組みのため、被膜の上で使うと本末転倒です。ボトル裏の液性表示を確認し、「中性」と書かれた製品を選んでください。

炎天下で洗車する

真夏の直射日光の下では、水もシャンプーも数分で乾きます。

乾いた跡はすべて水じみの原因です。どうしても昼間しか時間が取れない場合は、日陰に車を移動し、最初の水かけでボディを冷ましてから、手早く洗ってすぐにすすぎと拭き上げまで終わらせてください。

ワックスを重ね塗りする

「コーティングの上にワックスをかければ、もっと強くなる」という考えは誤解です。

ワックスの油分は被膜本来の撥水や光沢を鈍らせます。油分が汚れを呼び寄せる原因にもなります。メンテナンスには、施工店が用意している専用のメンテナンス剤を使ってください。

ブラシの硬い洗車機に入れる

「コーティング車は洗車機NG」という説は、現場の感覚では半分正解、半分誤解です。

最近の洗車機はスポンジやクロス系の柔らかいブラシが主流で、被膜への影響は昔の機種ほど大きくありません。避けるべきは、硬いナイロンブラシの古い機種と、ワックスコートなどの余計なオプションです。洗車機を使うなら水洗いコースかシャンプーコースを選び、ブラシの素材を店員に確認してください。

鳥のフンと虫汚れを放置する

鳥のフンと虫の死骸は、見つけたら当日中に落としてください。

酸性・アルカリ性の成分が被膜を侵し、跡が残ると研磨でしか消せなくなります。固まった鳥のフンや虫は、濡らしたクロスを当てるだけでは取れません。虫取り用のクリーナーでふやかしてから、こすらずに拭き取ってください。乾いたまま剥がすのは厳禁です。

洗車頻度の目安

コーティング車の洗車頻度は、2週間に1回が基準です。

  • 屋外保管・黒や紺などの濃色車:1〜2週間に1回
  • 屋根付き保管・白やシルバー:2〜4週間に1回
  • 鳥のフン・花粉・黄砂が付いたとき:頻度に関係なく即洗う

「汚れに気づいたら水洗いだけでもする」が、被膜を長持ちさせる最大のコツです。

まとめ:泡で撫でて、水を残さない

コーティング車の洗車で覚えることは、突き詰めると3つです。

  1. 洗う前に水で砂を流す(上から下へ)
  2. 中性シャンプーの泡で撫でる(こすらない)
  3. 水滴を残さず拭き上げる(炎天下を避ける)

数万円かけた被膜は、正しい洗車でこそ性能を発揮します。

タイトルとURLをコピーしました