ガラスコーティングを自分で施工すること自体は、可能です。問題は、どの製品を選ぶかです。選び方を間違えると、取り返しの付きにくい失敗につながります。
筆者は三級自動車整備士とキーパーコーティング技術2級の資格を持ち、ガソリンスタンドでコーティング施工を日常業務として担当しています。本記事では、施工する側の目線で「自分でやるならどれか」を断定します。
結論はシンプルです。スプレータイプなら、あり。硬化型は、おすすめしません。順に説明します。
結論|自分でやるなら「スプレータイプ」です
市販のガラスコーティング用ケミカルは、大きく2タイプに分かれます。
| タイプ | 施工のやり方 | 難易度 | 失敗したとき |
|---|---|---|---|
| 硬化型 | 下地処理をして塗り込み、硬化を待つ | 高い | ムラになると自力では戻せない |
| スプレータイプ | 洗車のたびにスプレーして拭き広げる | 低い | 次の洗車でやり直せる |
硬化型は、塗装の上にガラス系の硬い被膜を作る本格派です。うまく仕上がれば持続も長い反面、工程が多く、失敗すると簡単には戻せません。
スプレータイプは、ガラス系やポリマー系の保護成分を含むケミカルを、洗車のついでに塗り広げるタイプです。持続は数週間から数か月と短いものの、失敗がほぼありません。
施工を仕事にしている筆者自身の答えは、「コーティングはプロに任せる」です。それでも自宅で自分の車にやるなら、選ぶのはスプレータイプです。「かけられる手間」で選ぶ考え方は、コーティングとワックスの違いの記事でも同じです。
「ガラスコーティング」の中身を3つに整理します
言葉の整理を先にします。「ガラスコーティング」で検索すると、性質の違う3つが混ざって出てきます。
フロントガラスに塗る窓用の撥水コーティングは、別ジャンルです。本記事で扱うのは、ボディの塗装を保護するコーティングです。
専門店の硬化型コーティング
キーパーなどの専門店が施工する、ガラス系被膜のコーティングです。持続は1〜5年、価格は数万円規模です。
値段には、ケミカルの代金だけではなく下地処理と施工技術が含まれています。内訳は後半で説明します。
市販の硬化型DIYケミカル
数千円で買える、自分で硬化被膜を作るタイプです。被膜の仕組みは専門店と同じ系統でも、下地処理・塗布・硬化管理まで全部が自分持ちです。
競合する情報では「頑張ればできる」と紹介されがちですが、筆者はおすすめしません。理由は次の章にまとめます。
市販のスプレータイプ
数千円以内で買える、洗車のたびに施工するタイプです。成分はガラス系配合のものとポリマー系のものがあり、使い方はほぼ同じです。
被膜の厚みや持続は硬化型に及びません。かわりに、施工は洗車の延長で終わります。
硬化型DIYをおすすめしない3つの理由
施工する側だから分かるハードルを、3つに絞ります。
ムラになると、自力では戻せません
硬化型のいちばんのリスクはムラです。塗り広げたケミカルが乾き始めてから拭くと、拭き筋やムラがそのまま被膜として固まります。
固まったムラは、洗車では取れません。修正が中途半端だと、状態はさらに悪くなります。素人がコンパウンドで手を出すと、削りすぎのリスクも加わります。
キーパーのような専門店のコーティングなら、ムラを専用のクリーナーで落として再施工する手立てがあります。市販の硬化型DIYケミカルには決まったリカバリー手段がないものが大半で、最後は研磨に頼るしかありません。専門店に修正を頼めば、費用は最初から専門店で施工した場合に近づきます。「安く済ませるはずが高くつく」失敗です。
仕上がりは、塗る前の下地処理で決まります
コーティングは、塗装の状態をそのまま閉じ込めます。
鉄粉が刺さったまま塗ればザラザラした手触りに仕上がり、水じみが残ったまま塗れば水じみごと固まります。塗る前に、洗車・鉄粉除去・水じみ除去・脱脂という工程を積む必要があり、専門店が時間をかけるのも下地処理です。
道具をそろえて丸1日かける覚悟がないなら、硬化型の仕上がりは期待できません。
硬化が終わるまで、水に濡らせません
硬化型は施工後、被膜が落ち着くまで水に濡らせない時間があります。
屋根のない駐車場だと、天気しだいで管理できません。硬化の途中で雨に当たれば、持続の低下やシミの原因になります。屋外保管の車と硬化型DIYの相性は、正直に言って悪いです。
スプレータイプの使い方|洗車とセットで完結します
スプレータイプの手順は4ステップです。
- 手洗い洗車で汚れを落とす
- 拭き上げまで終える
- 1パネルずつスプレーして、クロスで塗り広げる
- 乾く前に、クロスの別の面で仕上げ拭きする
大事なコツは2つあります。1パネルずつ完結させること。炎天下と熱くなった外装を避けることです。どちらもムラと水じみを防ぐための鉄則で、洗車の拭き上げと同じ理屈です。
施工に使うクロスは、可能なら拭き上げ用と分けてください。製品によっては、施工でクロスがゴワつきます。
汚れの上に塗れば、汚れごと塗り広げることになります。施工の質は洗車の質で決まるため、洗車の手順から見直したい人は手洗い洗車の記事を先に読んでください。
製品によって「濡れたボディにそのまま使える」「乾いた面に使う」の指定が分かれます。手順3以降は、選んだ製品の表示に従ってください。
製品を1つ挙げるなら、筆者の店でも使っているキーパーファイナル1(ポリマーコーティング剤)です。店のピュアキーパー施工で使うケミカルで、全塗装色に対応しています。
濡れたボディにそのまま施工できるタイプです。すすぎの後に塗り広げ、そのまま拭き上げる流れになります。
スプレータイプと専門店施工の違い
「スプレーで足りるなら、専門店はいらないのでは?」という疑問に答えます。
違いは被膜と下地処理です。専門店の硬化被膜は年単位で持続し、施工前に塗装の状態を整える工程が入ります。スプレータイプは数週間から数か月で薄れるため、自分で重ね続ける前提です。
優劣ではなく、手間の掛け方の違いです。数か月ごとに自分の手を動かすか、年に1回お金で解決するか。年単位の持続を求める人は、キーパーコーティングの種類と違いの記事を参考にしてください。
よくある質問
硬化型でムラにしてしまいました。どうすればいいですか?
市販の硬化型ケミカルのムラは、基本的に研磨で削り落とすしかありません。
自分でコンパウンドをかけるのは、おすすめしません。ムラの上から削りすぎの傷を重ねる失敗が典型です。磨きを扱う専門店に、状態を見せて相談してください。
専門店で施工したコーティングのムラなら、話が別です。キーパーには専用のクリーナーで落として再施工する方法があるため、施工した店に相談してください。
スプレータイプは、どのくらい持ちますか?
数週間から数か月です。製品差が大きいジャンルのため、持続期間の表示を確認してから選んでください。
短さを欠点と見るか、「洗車のたびに塗り直せばいい」と見るかで評価が変わります。
専門店のコーティングの上に、スプレータイプを重ねてもいいですか?
基本は不要です。専門店の被膜が仕事をしている間は、正しい洗車と定期のメンテナンスで十分です。
重ねること自体より、被膜の状態に合わないケアで手間を増やすことがもったいないです。施工店に「上に市販のケミカルを使ってよいか」を確認するのが確実です。
新車なら、自分でやっても大丈夫ですか?
新車は塗装の状態が良く、下地処理が最小で済むタイミングです。スプレータイプを始めるにも向いています。
「新車にコーティングは必要か」という判断そのものは、新車のコーティングの記事で整理しています。
まとめ|「自分でやる」と「本格被膜」は分けて考えます
- 自分でやるならスプレータイプ。洗車のたびに重ねて保護を保つ
- 硬化型DIYの壁は3つ。ムラは自力で戻せない・仕上がりは下地処理で決まる・硬化まで水に濡らせない
- 失敗したムラの修正は高くつく。「安く本格被膜」は成立しにくい
- 年単位の持続が欲しいなら専門店。値段の差の正体は下地処理と技術
- どのタイプを選んでも、土台は正しい洗車
コーティング選び全体の考え方は、コーティングとワックスの違いの記事にまとめています。あわせて読んでみてください。

