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タイヤの空気圧は見た目で分かるのか|スタンドで毎日見ている側が、声をかける基準を書きます

タイヤのバルブにエアゲージを当てて空気圧を点検している手元 メンテナンス
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セルフのスタンドで給油を終えて、空気入れの前に立つ。適正値は調べてある。でも、何をどうすればいいのか分からない。

そのまま帰った経験がある方は多いと思います。空気圧は「見れば分かる」と言われることもあれば、「ゲージを当てないと分からない」と言われることもあって、どちらを信じればいいのかも分かりません。

筆者は三級自動車整備士の資格を持ち、ガソリンスタンドでタイヤ交換と空気圧の点検を担当しています。給油に来た車の空気圧を、毎日見ている側です。

本記事では、見た目でどこまで分かるのかと、店の側が何を基準に声をかけているのかを書きます。

結論|見た目で分かるのは、普通の扁平率のタイヤだけです

先に3つお伝えします。低扁平タイヤとバンのタイヤは、空気が半分に減っていても見た目では分かりません。だから店の側から声をかけています。自分で見るなら、月に1回ゲージを当ててください。

筆者自身、チェックの前は見た目で判断しています。ただしそれは、普通の扁平率のタイヤを毎日見ているからできることです。

JAFの検証では、扁平率が低いタイヤと高いタイヤは、モニター全員が見た目で誤りました。「見た目で分かる」は、タイヤによって成り立ったり成り立たなかったりします。 ここを先に押さえてください。

スタンドで空気圧を見ている側の話

店の側がやっていることは2つです。どの車も見ることと、基準を決めて声をかけることです。

基本的に、どの車も見ています

筆者の店では、給油に来た車は基本的にどれも空気圧を見ています。

きっかけは、チラシを配るついでです。「空気圧、確認しときましょうか」と声をかけて、それで見ます。 お客様のほうから「見てもらえますか」と言われることもあります。

断られることはほとんどありません。数分で終わりますし、費用もかかりません。

給油のたびに声をかけられたら、断らずに見てもらってください。それがいちばん確実です。

ワイパーも、店では点検や洗車のときに形を見て声をかけています。見ている場所は、ワイパーゴムの交換時期の記事に書きました。

声をかける基準は、チェックの前と後で違います

チェックの前は、見た目です。 タイヤの接地面のつぶれ方で、減っていそうな車には最初に気づきます。

チェックの途中では、基準値より0.5kgf/cm²ほど下回っていたら「減っています」と言います。 ただ、ここは感覚的な部分で、少しでも下がっていれば言う人もいます。筆者も「少し下がってますね」くらいは言います。

数字で線を引いているというより、基準値からのズレを見て、ズレていれば伝える、という運用です。

その「見た目」が当てにならないタイヤがあります

ここが本題です。扁平率が低いタイヤと、バンのタイヤは、見た目では分かりません。

JAFが2015年に検証しています。適正空気圧の半分まで減らしたタイヤを、モニター3名に見せた結果です。

タイヤ 半分に減らしたときの判断
65タイヤ(一般的な扁平率) 全員が正しく「減っている」と判断
45・50タイヤ(低扁平) 全員が誤答。3名とも「4分の1」と過小評価
80タイヤ(バン) 1名が「4分の3」、2名が「適正」と回答

出典:JAFユーザーテスト「見た目や運転でわかる? タイヤの空気圧低下の検証」(2015年8月31日)

低扁平タイヤは、半分でも気づけません

扁平率が低いタイヤは、適正でもつぶれて見えます。 そのため、本当に減ったときとの差が分かりません。

JAFの検証では、45・50タイヤを半分にしたところ、3名全員が「4分の1まで減っている」と答えました。程度を誤っています。少し減った程度では、気づけません。

運転させたテストでも同じです。左前輪だけ半分にして、65タイヤでは3名全員が気づいたのに、45タイヤでは1名しか気づきませんでした。

低扁平タイヤに乗っている方は、見た目を信じないでください。ゲージを当てる以外に、確かめる方法がありません。

バンのタイヤは「適正」に見えてしまいます

80タイヤは逆です。 半分に減らしても、3名中2名が「適正」と答えました。

扁平率が高いタイヤは、もともと横から見た厚みがあります。半分に減っても、まだ厚みが残っているように見えます。

バンや軽トラックに乗っている方は、ここに当てはまります。仕事で毎日乗る車ほど、空気圧を見る機会がありません。

給油のついでに、店で見てもらってください。

セルフで詰まるのは、適正値ではなく入れ方です

セルフのお客様から受ける質問で、いちばん多いのは何か。適正値の場所ではなく、入れ方です。

いちばん多い質問は「入れ方」です

適正値は、調べれば出てきます。詰まるのは、機械の前に立ってからです。

「使い方が分からない」「見方が分からない」が圧倒的に多く、ときどき「チェッカーが壊れているかもしれないから、別のはないか」とも言われます。

そのとき、筆者が目の前で使ってみせると、何事もなく使えます。 壊れていたことは、これまでありません。使い方が分からなかっただけです。

分からなければ、店員に声をかけてください。目の前で使えば、たいていその場で解決します。

分からないのは「音」です

つまずく場所は、だいたい決まっています。空気が入っているのかどうかと、どこまでやれば設定した値に届いたのか、の2つです。

セルフの機械は、設定した値まで空気を送ると音で知らせる作りが多いです。ただ、その音が「入っている途中の音」なのか「終わった音」なのか、初めてだと区別がつきません。

一度、店員の横で見てください。音の意味が分かれば、次からは一人でできます。

分からないまま途中でやめると、入れたつもりで入っていない、ということが起きます。

適正値はどこに書いてあるか

運転席のドアを開けたところに、ラベルが貼ってあります。 車種ごとに指定の値が書いてあるので、その数字に合わせてください。

外車は、給油口の裏にあることもあります。 ドアの開口部に見当たらなければ、給油口を開けて確認してください。

給油口のふたの裏には、指定の燃料が書かれていることもあります。入れ間違えたときの対応は、ハイオク車にレギュラーを入れてしまったときの記事に、組み合わせ別でまとめています。

ラベルの値が基準です。「多めに入れておけば安心」はやめてください。多すぎると、タイヤの真ん中だけが減ります。純正と違うサイズに替えている場合は、タイヤ専門店に確認してください。

バルブキャップに「N₂」と書いてあったら

バルブキャップに「N₂」と書いてある車には、窒素ガスが入っています。 空気ではありません。

筆者の店では、窒素は扱っていません。N₂の表示がある車には、「うちは空気を充填するだけなので、窒素ではありませんが大丈夫ですか」と必ず聞いています。 それを知らずに乗っている方も、ときどきいます。

窒素は、空気と違って酸素や水分をほとんど含みません。そのぶん抜けにくく、ホイールの錆も出にくい、という説明を店ではしています。 ブリヂストンの公式サイトにも同じ説明があります。

空気を足すこと自体はできます。 ただし、ブリヂストンは「窒素ガスの効果は薄れる」としています。窒素を入れた店で補充するか、空気に切り替えるかは、その場で決めてください。窒素の補充は有料が一般的で、扱っている店も限られます。

放置するとどうなるか

見ないまま乗り続けた車に、実際に何が起きているか。店で見ているのは、片減りとひび割れです。

現場で見ているのは、片減りとひび割れです

フロントタイヤの片減りは、よくあります。 空気圧が足りないと、タイヤの両端ばかりが減ります。ブリヂストンも、空気圧不足の影響の1つ目に片減りを挙げています。

ひび割れがひどい車も多いです。 こちらは空気圧だけの話ではなく、年数の影響もあります。ただ、空気が足りずにたわみ続けたタイヤは、ひびが入りやすくなります。

実際にバーストして、店に来た車もあります。 高速で起きたわけではありません。それでも、タイヤが破裂した状態で入ってきました。

タイヤ交換の目安については、売る前にタイヤやバッテリーを替えるべきかに、年数と残り溝の基準をまとめています。

バーストは、実験でも起きています

JAFが2016年に、タイヤ試験機で検証しています。空気圧を半分にしたタイヤは、時速200kmで表面が波打ち、表面温度は100℃を超えました。 210kmで破裂しています。適正空気圧のタイヤは、同じ210kmでも60℃ほどでした。

これは実験の速度で、公道では出ません。 ただ、日本自動車研究所の研究者は「空気圧不足のタイヤを長期間使い続ければ、法定速度内でもバーストする可能性はある」と述べています。店に来た車も、法定速度内でバーストしました。

原因は速度ではなく、減ったまま乗り続けることです。

どのくらいの頻度で見ればいいか

推奨は、最低でも月に1回です。 JAFもブリヂストンも、そう案内しています。

正直に書きます。実際のお客様は、2〜3か月に1回くらいです。 月1回を守っている方は、多くありません。

だから店では、給油のたびに声をかけています。自分で月1回を守れないなら、声をかけられたときに断らないでください。 それで結果的に、月1回に近づきます。

季節の変わり目は、特に見てください。気温が下がると、空気圧も下がります。 秋から冬にかけては、店でも「季節の変わり目はしっかり見たほうが安心ですよ」と伝えています。

よくある質問

冷えているときに測れと言われるのはなぜですか

走ったあとのタイヤは温まっていて、空気圧が高めに出ます。冷えた状態で測るのが基本です。 出先で調整するなら、ブリヂストンは「指定より20〜30kPa高めに合わせて、冷えたら再調整」としています。

高速に乗る前は高めに入れたほうがいいですか

店では、空気圧を見るお客様には最初に「高速に乗りますか」と聞いています。乗るなら、数値の指定がない限り、基準値より0.2kgf/cm²高めに合わせています。

ラベルには、たいてい通常の値しか書いてありません。高速用の値を自分で探しても、まず見つかりません。ブリヂストンも走行途中の調整は「20〜30kPa高め」としていて、店の+0.2kgf/cm²とほぼ同じ幅です。

窒素が入っている車に空気を入れてもいいですか

入れられます。ただし、ブリヂストンは「窒素ガスの効果は薄れる」としています。

筆者の店では、必ず先に確認してから入れています。

片減りしていると言われました。どうすればいいですか

後ろのタイヤと比べて、そこまで減っていなければローテーションを勧めています。 前後を入れ替えて、減り方をならします。

溝がほとんどないか、スリップサインが見えているなら、すぐに交換してください。 ここは強く勧めています。

まとめ|見た目を信じていいのは、普通のタイヤだけです

  • 低扁平タイヤとバンのタイヤは、半分に減っても見た目で分かりません。 JAFの検証で、モニター全員が誤りました
  • 店の側は、どの車も見ています。 声をかけられたら断らないでください
  • セルフで詰まるのは入れ方です。 特に「音」。分からなければ店員の横で一度見てください
  • 適正値は運転席ドアの開口部のラベル。 外車は給油口の裏にあることもあります
  • N₂のキャップは窒素です。 空気を足す前に、店に確認してください
  • 推奨は月1回。実際は2〜3か月に1回。 季節の変わり目は特に見てください

見た目で判断できるのは、毎日タイヤを見ている側の話です。自分の車のタイヤは、ゲージを当ててください。

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