雨の日にコーティングを頼むと、「コーティングホールドをしておきますね」と言われることがあります。
聞いたことのない名前で、追加料金がかかるのかも分からないまま、話が進んでいきます。
筆者は三級自動車整備士とキーパーコーティング技術2級の資格を持ち、ガソリンスタンドでキーパーコーティングの施工を担当しています。コーティングホールドは、雨の日に毎回おこなっている作業です。
本記事では、何をしている作業なのか、デメリットはあるのかを、施工する側の立場で書きます。
結論|雨の日に、その場で引き渡すための作業です
先に3つお伝えします。費用はかかりません。作業は10〜20分です。撥水力が上がるものではありません。
コーティングを施工したあとの被膜は、しばらく雨に濡らせません。コーティングホールドは、その時間を待たずに車を引き渡せる状態にする作業です。
デメリットもあります。感覚的な話になりますが、拭き上げているときに肌触りの違いを少し感じます。見た目には出ません。
コーティングホールドで何をしているのか
やっているのは2つです。施工した被膜の定着を保護することと、硬化を早めること。
コーティングは、施工が終わった直後がいちばん弱い状態です。被膜が落ち着くまでに時間がかかります。その途中で雨に当たると、仕上がりに影響が出る可能性があります。
コーティングホールドを入れると、その待ち時間を短くできます。雨が降っている日でも、お客様をお待たせせずに引き渡せます。
キーパー技研が発行している「キーパーTIMES」でも、雨の日の無塗装樹脂パーツキーパーに向く作業として紹介されています。店舗にも届いている広報誌です。
「濡らさない時間」と「洗わない期間」は別物です
ここを混同すると、必要のない心配をすることになります。雨に濡らせない時間と、洗車を空ける期間は、まったく別の話です。
雨は、硬化時間を過ぎれば大丈夫です
被膜が雨に濡れても問題なくなるまでの時間は、メニューごとに決まっています。作業マニュアルに記載されている時間です。
| メニュー | 硬化時間 |
|---|---|
| フレッシュキーパー | 夏2時間・冬5時間 |
| ダイヤⅡキーパー | 6時間 |
| EXキーパー | 6時間 |
いずれも、施工が終わった時点からの時間です。 引き渡しの時刻からではありません。
フレッシュキーパーだけ、季節で倍以上の差があります。冬に施工した日は、夏と同じ感覚で考えないでください。
時間が過ぎたあとは、雨に濡れても構いません。ワイパーを使っても問題ありません。
洗車機と手洗いは3日空けてください
こちらは雨とは別の基準です。洗車機や手洗いをするまでは、3日ほど空けてください。
雨に当たるのと、スポンジやブラシで物理的にこするのでは、被膜への負担が違います。硬化時間を過ぎていても、洗うのはもう少し待ってください。
「3日間は濡らさないでください」と書かれた情報を見かけますが、正確ではありません。濡れるだけなら、硬化時間を過ぎていれば問題ないためです。
施工の翌日に雨が降っても、心配しなくて構いません。気にするのは、施工当日の数時間だけです。
コーティングホールドのデメリット
デメリットは2つあります。肌触りの違いと、効果が足されるわけではないことです。
肌触りのほうから書きます。感覚的な話になりますが、コーティングホールドを拭き上げているときに、少し違いを感じます。 施工した本人が手で触って気づく程度で、見た目には出ません。
お客様から「手触りが変わった」と言われた経験はありません。あくまで、毎日施工している側が手のひらで感じる差です。
もう1つは、期待の方向を間違えないでほしいという話です。コーティングホールドをしても、撥水力が上がるわけではありません。 硬化を早めて定着を守る作業で、被膜の性能を足すものではありません。
費用はかかりません。断る理由もほとんどありませんが、何かが良くなるものでもない、と考えてください。
コーティングそのもののデメリットは、キーパーコーティングのデメリットにまとめました。費用の続き方や、車を預ける時間の話はそちらに書いています。
晴れの日にはやりません
コーティングホールドは、雨の日だけの作業です。晴れている日にはおこないません。
晴れていれば、硬化時間のあいだ車が濡れる心配がありません。待つ必要のない状況で、わざわざ手を加える理由がないためです。
屋内で保管される方も、同じ考え方で構いません。施工後に雨に当たらない環境であれば、必要な場面が来ません。
自分の車がどちらか分からないときは、施工する店に聞いてください。雨予報を見て判断しているのは、店の側です。
コーティングホールドをしなかった車は、どうなるのか
正直に書きます。何が起きるかを断定できるだけの材料が、手元にありません。
理由はシンプルです。雨の日は基本的にどの車にもコーティングホールドを施工しているため、比較できる車がほとんど出てきません。
考えられるのは2つです。被膜の平滑化がうまくいかず弾きが落ちること、多少のムラが出ることです。どちらも仕組みから考えた話で、実際に測ったわけではありません。
1台だけ、比較できる例があります。代車にコーティングをしたあと、コーティングホールドを施工できなかったことがありました。そのあと手洗い洗車をしたときに、少し弾きが悪いように感じました。 1台での実感なので、これをもって「必ずこうなる」とは書けません。
対象になるメニュー
コーティングホールドを使うのは、次のメニューです。
- フレッシュキーパー
- ダイヤⅡキーパー
- EXキーパー
- 無塗装樹脂パーツキーパー
- レンズコーティング
- ホイールコーティング
ボディだけの作業ではありません。樹脂パーツやヘッドライト、ホイールに施工したコーティングも対象になります。
メニューごとの違いは、キーパーコーティングの種類と違いで解説しています。
施工後に雨が降ってしまったら
硬化時間の前に濡れてしまった場合でも、慌てなくて構いません。拭き上げれば十分です。
拭くときは、こすらないでください。乾いたタオルで撫でるように、水分を移し取る感覚で動かします。力を入れて往復させると、被膜が落ち着く前に傷を作ります。
拭き上げたあとで、ムラが気になる場合があります。そのときは施工した店に持っていって、見てもらってください。状態を見ないまま、自分で何かを塗るのは避けてください。
よくある質問
頼まないと施工してもらえませんか
雨の日は、こちらから提案する形で進めています。お客様から指定されることはほとんどありません。
心配であれば、施工前に「雨ですが、どうしますか」と聞いてみてください。店の方針を確認できます。
雨が降りそうな日は、施工を避けるべきですか
避ける必要はありません。コーティングホールドは、雨の日に施工するための作業です。
日程が動かせないときは、そのまま予約を入れて構いません。
コーティングホールドをすれば、すぐ洗車できますか
洗車は別です。硬化を早める作業ですが、洗車機や手洗いは3日ほど空けてください。
濡らしてよくなる時間と、洗ってよくなる時間は違います。
洗車機そのものの判断は、雨の日の洗車機は恥ずかしい?に書いています。
まとめ|断る理由はありませんが、効果を足すものでもありません
コーティングホールドは、雨の日にその場で車を引き渡すための作業です。費用はかからず、10〜20分で終わります。
デメリットは、拭き上げのときに肌触りの違いを少し感じることです。見た目には出ません。そして、撥水力が上がるわけではありません。
施工したあと何年もつのかは、キーパーコーティングは何年もつ?にまとめました。
覚えておいてほしいのは、時間の使い分けです。雨に濡らせない時間は施工完了から2〜6時間、洗車を空ける期間は3日。この2つは別の基準です。
なお、費用がかからないのは筆者の店での運用です。他店の扱いまでは分かりません。施工前に確認してください。

