コーティングを調べると、撥水・親水・疎水・滑水と言葉が並びます。どれを選べばよいのか、決め手が見つからないまま読み終えた方も多いはずです。
結論から書きます。弾き方を決める前に、先に決めることがあります。車のケアにどれだけ時間と手間をかけられるかです。
私はガソリンスタンドでキーパーコーティングの施工を担当しています。先にお断りしておきます。私の店で扱うコーティングは撥水です。親水のコーティングを施工した経験はありません。 どちらが優れているかという評価は避けます。
接触角の数字も出しません。 調べると媒体ごとに違う数字が並んでおり、裏が取れなかったためです。
この記事では、撥水と親水の違いを整理したうえで、施工の現場が何を先に聞いているのかと、撥水を選んだあとに起きることを書きます。
結論|違いは「水が残るか、流れるか」です
押さえるのは3つです。水の残り方、効果の見え方、決める順番です。
1つ目は水の残り方です。撥水は、水が玉になって表面に残ります。 洗車のあとに水をかけると、水が粒だって転がります。親水は、水が膜のように広がって面で流れ落ちると説明されています。
2つ目は効果の見え方です。撥水は水をはじいているかどうかで、効いているかが判定できます。 親水は水を弾かないため、効いている状態が見た目に出にくいと説明されています。
3つ目が本題です。決める順番は、多くの記事に書かれている順番とは逆になります。 水の弾き方から入るのではなく、ケアにかけられる時間と手間から決まります。
いま自分の車がどちらのコーティングなのかは、その場で確かめられます。洗車のあと、ボンネットに水をかけて残り方を見てください。 水が粒だって転がるなら撥水です。
私の店で扱うのは撥水です
現場で起きているのは2つです。扱いが撥水だけであることと、親水の指名を受けたことがないことです。
疎水も滑水も、店では使わない言葉です
店で扱うのは撥水で、呼び分けはしていません。 お客様への案内も「水をはじきます」で通ります。
疎水は撥水と親水の中間、滑水は水の滑りが強い状態として使われることが多い言葉です。呼び方が増えても、選ぶ材料は増えません。
いま入っている被膜の種類を知りたいなら、確かめる方法があります。施工証明書を見てください。 メニュー名が書かれていることが大半です。レシートには書かれていません。
証明書はメンテナンスのときにも要ります。 施工した店以外のキーパー施工店でメンテナンスを受けるときは、持参してください。証明書がないと、何をいつやったのかが分からなくなります。
「親水にしたい」と言われたことはありません
親水を指名してのご相談は、これまで受けたことがありません。
コーティングの記事の多くは「好みで選びましょう」と結ばれています。現場では、選ぶ場面そのものが来ていません。 どちらにするかで迷う手前で、メニューが決まっていきます。
どうしても親水を試したい方は、施工を頼む前に、コーティングの扱いを聞いてください。 親水コーティングを扱っていない店に頼むことはできません。
親水との比較はできません
親水を施工した経験がないため、優劣は判定しません。
コーティングを扱った記事の多くは、撥水のほうが水じみが増えると書いています。水玉が残り、乾いたときにミネラル分が跡になるという説明です。私は親水を扱っていないので、比較して確かめられません。
分かっているのは撥水側の事実だけです。撥水でも水じみは付きます。 水滴を残せば、乾いた場所にミネラル分が残ります。洗車のあとは、水滴を残さず拭き取ってください。 落とし方は車の水垢の落とし方にまとめました。
コーティングの効果は「水じみが付かなくなること」ではありません。固着しにくくなり、落としやすくなることです。 拭き上げが要る点は、施工しても変わりません。
現場が先に聞くのは、水の弾き方ではありません
種類を決めるときに聞くのは2つです。あと何年乗るかと、コーティングに何を期待しているかです。
「あと何年乗りますか」
残す年数で、勧めるメニューが変わります。 3年で乗り換える車と、10年乗る車では、かける費用の考え方が変わるためです。
聞き方も決まっています。「車検あと何回ですか」とは聞きません。 年数のほうが答えやすく、乗り方の話にもつながるためです。
年数が短い場合、入口のメニューで足りることもあります。塗装の状態が悪いと、上位のメニューほど被膜の乗りが悪くなります。 状態を見てから決める順番です。
迷ったら、あと何年乗るつもりかを先に決めてください。 年数が決まると、候補は2つか3つに絞れます。
メニューごとの違いはキーパーコーティングの種類にまとめました。
「どのような効果を期待していますか」
期待している効果が「はじき」なのか「艶」なのかで、案内が変わります。
現場のメンテナンス案内も、同じところで分かれます。はじきだけでよい方には、AメンテナンスとBメンテナンスを交互に。艶もはじきも保ちたい方には、Bメンテナンスをおすすめしています。 メンテナンスの中身はキーパーコーティングのメンテナンスにまとめています。
期待が「洗車が要らなくなること」だった場合は、先に修正します。どのメニューを選んでも、洗車は要ります。 ワックスとの違いを含めた効果の範囲はコーティングとワックスの違いにまとめました。
期待している効果は、施工を頼む前に言葉にしてください。 言葉になっていれば、店の側も外した案内をしません。
答えが出ないときに聞くこと
期待する効果が出てこないときは、車のケアにどれだけ時間や手間をかけられるかを聞きます。
判断の材料になるのは2つです。月に何回洗車しているかと、拭き上げまでやれているかです。手をかけられる方ほど、被膜の状態を保てます。
手をかけられない方には、メンテナンスの回数で補う案内をします。自分で洗う回数が少ない分を、店の作業に置き換える形です。
水の弾き方を先に決めても、必要な手間の量は変わりません。 順番を逆にすると、施工したあとに「思っていたのと違う」が出ます。
今日できることが1つあります。先月、何回洗車したかを数えてください。 0回か、1回か、4回かで、選ぶメニューは変わります。
「水をはじかない」は、いちばん多いご相談です
コーティング後のご相談で最も多い症状は、艶でも汚れでも傷でもありません。水をはじかなくなった、という内容です。
撥水を選ぶと、効果の判定が水はじきに一本化されます。 効いている状態が分かりやすい代わりに、落ちたときも同じくらい分かりやすくなります。親水では感じ方が変わる可能性はあります。扱っていないため、断定はできません。
はじかなくなったと感じたら、順番があります。まず表面の汚れを疑ってください。 被膜の上に汚れが乗って、はじきが鈍く見えている状態が多いためです。
多くは表面用のクリーナーで戻ります。シャンプー洗車だけでは戻らないことのほうが多いので、店ではミネラルオフでの表面ケアをおすすめしています。戻らなかった場合の分岐はコーティングの効果がないと感じたときにまとめました。市販のケミカルを重ねる前に、施工した店へ持ち込んでください。
駐車環境で変えるのは、ケアの仕方です
屋外に置くか、屋根の下に置くかで変わるのは洗車の回数です。コーティングの内容を変えることは、ほとんどありません。
コーティングを扱った記事の多くは「屋外駐車なら親水」と書いています。現場では、駐車環境を理由に商品を変えていません。 変えているのは、施工したあとのケアの案内です。
屋外に置いている車ほど、洗車の回数を確保してください。 洗って、すすいで、最後に水滴を拭き取るまでが1回です。屋根のない車は、雨が降るたびに水じみの原因が残ります。雨が降ったあとに放置した回数の分だけ、跡は増えていきます。
汚れが乗ったままのボディを、乾いた状態で拭かないでください。 きれいになる前に傷が入ります。雨に濡れただけの車も同じです。先に水で汚れを流してから洗ってください。
手が回らない日でも、減らす方法はあります。洗車のあとの拭き上げは、上向きの面から先に済ませてください。 ボンネットとルーフは水滴がとどまりやすく、跡も出やすい場所です。
ガラス面はボディと分けて考えます
フロントガラスの撥水は、ボディのコーティングとは別のメニューです。 店でも分けて案内しています。ガラスにも撥水を入れたいなら、ボディとは別に相談してください。
洗車機の撥水コースも、専門店の施工とは別物です。手軽さを重視したもので、専門店のコーティングと同じ持続性は期待できません。 洗車機そのものの扱いは洗車機で傷が付くのかにまとめました。
よくある質問
撥水と親水はどちらが長持ちしますか
性質の違いであって、耐久の順位ではありません。 持ちを決めるのは被膜の種類とメンテナンスの間隔です。年数の目安はキーパーコーティングの持ちにまとめました。
市販の撥水スプレーを上からかけてもいいですか
専門店で施工した被膜の上に重ねる必要は、基本的にありません。判断の材料はコーティングの効果がないと感じたときにまとめています。
撥水が落ちたら再施工ですか
先に表面のケアを試してください。 そこで戻る場合が多く、再施工の判断は戻らなかったあとになります。
コーティングをすれば水じみは付かなくなりますか
付きます。 固着しにくく、落としやすくなるだけです。水滴を残せば跡になります。
疎水や滑水のほうが新しい技術ですか
呼び方の違いで、新旧の順番ではありません。店では撥水という言い方だけを使っています。
まとめ|弾き方を決める前に、かけられる時間を決めてください
- 撥水は水が玉になって残り、親水は膜になって流れると説明されています。接触角の数字は媒体ごとに違うため、当サイトでは出しません
- 私の店で扱うのは撥水だけです。 疎水や滑水という呼び分けもしていません
- 親水を指名されたことはありません。 選ぶ場面は、現場では来ていません
- 親水を施工した経験がないため、比較はしません。 「撥水は水じみが増える」という説明も、確かめられていません
- 現場が先に聞くのは、あと何年乗るかと、何を期待しているかです
- 答えが出ないときに聞くのは、車のケアにどれだけ時間や手間をかけられるかです
- 駐車環境で変えるのはケアの仕方で、コーティングの内容ではありません
今日できることが1つあります。先月の洗車の回数を数えてください。 回数が少ないなら、弾き方より先に、メンテナンスをどこまで店に任せるかを決めるほうが早いです。
新車で施工するかどうかを迷っている段階なら、新車のコーティングは必要かから読んでください。
選ぶのは水の弾き方ではなく、これから車にかけられる時間です。

