せっかくていねいに洗っても、拭き上げで手を抜くと水じみが残ります。雑に拭けば、傷も付きます。
洗車の仕上がりを最後に決めるのは、タオルです。「どれを買うか」も大事ですが、それ以上に「どう使うか」で差が付きます。
筆者は三級自動車整備士とキーパーコーティング技術2級の資格を持ち、ガソリンスタンドで洗車とコーティングを日常業務として担当しています。本記事では、拭き上げタオルの使い分けと、現場で毎日やっている使い方を解説します。
結論|タオルは1枚ではなく4枚に分けます
最初に全体像です。1枚のタオルで車の全部を拭かないでください。
| 場所 | 使うタオル | 使い方 |
|---|---|---|
| ボディ | マイクロファイバークロス | 濡らして絞って四つ折りで |
| 窓ガラス | 綿100%タオル | 乾いた状態で |
| ステップ(ドアの敷居) | 綿100%タオル | 窓用とは別の1枚 |
| ホイール | 専用の1枚 | いちばん最後に |
分ける理由は汚れの性質です。ホイールにはブレーキダストという鉄の粉が付き、ステップには砂がたまります。汚れた場所を拭いた1枚をボディや窓に回すと、きれいにするための拭き上げで傷を作ります。
順番に、使い方まで説明します。
ボディ用|マイクロファイバーを「濡らして」使います
マイクロファイバーが向いている理由
ボディの拭き上げには、マイクロファイバークロスを使ってください。
極細の繊維が水を素早く吸い、塗装への当たりもやわらかい素材です。家にあるバスタオルで代用するのはおすすめしません。綿の太い繊維はボディの上では硬く働き、吸水も遅く、拭き傷の原因になります。
現場流は「濡らして絞って四つ折り」
いちばん伝えたいのは使い方です。クロスを乾いたまま使わないでください。
水に濡らしてしっかり絞り、四つ折りにしてから拭き上げます。滑りが良くなり、拭きムラも減りますが、いちばんの理由は傷を作らないためです。乾いたクロスは滑りが悪く、ボディに残った汚れを引きずりやすくなります。
四つ折りにするのは、面を替えながら拭くためです。片面が汚れたら畳み直して、常にきれいな面をボディに当てます。
力の入れ方にもコツがあります。ゴシゴシこすらないでください。クロスを面で当てて、滑らせて水を吸わせるイメージです。水滴はこすらなくても、クロスが触れれば吸い取れます。力を入れる場面は、拭き上げにはありません。
窓・ステップ用|綿100%タオルを1枚ずつ
窓ガラスの拭き上げは、ボディと逆です。乾いたタオルのほうが水じみが残りにくく、仕上がりがきれいになります。
窓は2段階で拭いてください。すすぎの直後は水がたっぷり残っていて、乾いたタオルだけでは吸いきれません。ボディ用のマイクロファイバーで先に水を取り、そのあと綿100%のタオルで仕上げます。
ドアを開けた内側の敷居(ステップ)も、専用の1枚で拭きたい場所です。砂がたまりやすく、ボディ用のクロスを汚したくありません。
同じ綿100%でも、窓用とステップ用は別の1枚に分けてください。砂を拾ったステップ用で窓を拭けば、ガラスに拭き傷を作ります。
筆者の店では、窓ふきとステップ拭きに綿100%のタオル(キーパーの「快洗Taoる」)を使っています。ボディ用のマイクロファイバーとは完全に分けています。
拭き上げの手順とコツ
タオルの次は、拭き方です。現場でやっている順番とコツを4つにまとめます。
1パネルずつ完結させる
拭き上げは、1パネル拭き終えてから次のパネルへ移ります。
ボディ全体に水滴を残したまま部分的に拭き進めると、待っている間に水滴が乾いて水じみになります。夏の日中は特に速いです。
細部の水を抜く
面を拭いて終わり、ではありません。水は縁と継ぎ目にたまっています。
- ドアを開けた内側の縁
- トランクの縁
- ボンネットの裏とエンジンルーム周りの縁
- 給油口の蓋の裏とキャップの周り
たまった水を残すと、あとから垂れて筋になります。雨筋の予防にもなる一手間です。
ホイールは最後に、別のクロスで
ホイールの拭き上げは、全体の仕上げのいちばん最後です。
濡れたまま放置すると、ホイールが水じみだらけになります。ブレーキダストが付くため、使うのはボディ用と別の1枚です。ボディ用として使い込んで、ゴワつきが出てきたクロスを降ろして使う回し方なら、無駄がありません。
夜はしっかり、雨の日はほどほど
夜の洗車は、焼き付きの心配こそ減りますが、残した水滴は夜でも水じみになります。夜こそ拭き上げに時間をかけてください。
雨の日や、直後に雨が来る日は逆です。細部の水を抜く程度で切り上げてかまいません。
タオルの手入れ|柔軟剤を入れて洗います
タオルは消耗品であり、道具です。手入れで寿命と仕上がりが変わります。
洗濯には柔軟剤を入れる
「タオルの洗濯に柔軟剤はNG」という説を見かけますが、筆者の店では柔軟剤を入れて洗っています。
理由はシンプルで、タオルを固くしないためです。固くなったタオルは塗装への当たりが強くなります。ふわふわの状態を保つことが、傷を作らない拭き上げにつながります。
汚れたまま使い続けない
クロスに残った砂や汚れは、次の拭き上げでボディを傷付けます。
使ったら洗う、が基本です。ホイール用はブレーキダストで真っ黒になるため、ボディ用とは分けて洗ってください。
引退の目安はゴワつき・吸水・汚れ
ゴワつきが取れなくなったクロス、水を吸わなくなったクロス、洗っても汚れが落ちなくなったクロスは、ボディ用から引退させてください。
捨てる必要はありません。ホイール用やドアの内側用に降ろせば、最後まで使い切れます。
よくある質問
PVAやセーム革のタオルはどうですか?
吸水力の高い素材で、大量の水を一気に取るのに向いています。
筆者の店でも使っています。出番はクロスで拭き上げる前の「水減らし」です。ボディの水を先にごっそり取っておくと、仕上げの拭き上げが楽になります。
最初にそろえる道具一覧には入れていません。基本の4枚で拭き上げてみて、水の多さが気になったら追加する位置付けで十分です。
タオルを地面に落としてしまいました
落としたタオルは、その洗車では絶対に使わないでください。別のタオルに替えます。
地面に触れた瞬間、クロスは砂を拾います。見た目に付いていなくても、細かい粒が繊維に入り込みます。砂を噛んだクロスでボディを拭けば、拭き上げが傷付けの作業に変わります。落とした分は、洗濯してから復帰させてください。
何枚そろえればいいですか?
基本は4枚です。ボディ用・窓用・ステップ用・ホイール用に各1枚。
洗濯中の予備まで考えるなら、5〜6枚あると余裕が出ます。落としたときの交代要員にもなるため、ボディ用の予備から増やすのがおすすめです。
どのクロスを買えばいいですか?
サイズの大小より、「拭き上げ用」として作られたクロスを選んでください。筆者の店で使っているのはキーパーのクロスです。
道具一式の選び方は別記事にまとめています。クロス単体の比較はマイクロファイバークロスの記事で詳しく解説しています。
拭き上げの前の洗い方も知りたいです
洗いからの流れは手洗い洗車の記事に、洗う順番は順番の記事にまとめています。
まとめ|拭き上げの主役は「使い方」
- タオルは4枚に分ける:ボディ=マイクロファイバー/窓・ステップ=綿100%を1枚ずつ/ホイール=専用
- ボディ用は乾いたまま使わない。濡らして絞って四つ折り
- 1パネルずつ完結させ、縁と継ぎ目の水を抜く。ホイールは最後
- 洗濯は柔軟剤を入れて、タオルを固くしない
- ゴワついたらボディ用から引退。ホイール用に降ろして使い切る
高いタオルを1枚買うより、役割の違う4枚を正しく使うほうが、仕上がりは上です。次の洗車から、拭き上げを変えてみてください。
水じみが残ってしまったときの落とし方は、別記事で解説しています。

